産業界の気持ち 2011 7 17

 日本経済新聞には、このような記事がありました(2011年7月15日)
「3年内に海外移転」 4割  社長100人アンケート
 日本経済新聞社が14日まとめた「社長100人アンケート」で、
約4割の経営者が円高の是正や税制の見直しが進まなければ、
3年以内に海外へ生産拠点などを移さざるを得ないと回答した。
 震災に伴う政策課題の棚上げと、
エネルギー政策の迷走で電力不足問題が長期化する懸念から、
国内生産が維持できなくなるとの危機感が広がっている。
(中略)
 企業が国内拠点や収益力を維持・拡大するため、
政府が早期に取り組むべき制度的な課題として、
最も多く挙がったのは、
「電力不足解消策を含む総合的なエネルギー政策」で50.7%。
「法人税率引き下げ」が36.4%、
「環太平洋経済連携協定(TPP)への参加」が35%で続いた。
 菅直人首相がいったん優先課題としながら、
東日本大震災の影響などで棚上げした政策の着実な遂行を求めるとともに、
原発再稼働などでの場当たり的な対応に対する不満が見える。
(中略)
 国内景気が持ち直す条件を3つ聞いたところ、
最多は「電力不足解消への見通しが立つこと」(64.2%)、
2番目は「世界経済の堅調な推移」(54.7%)だった。
望ましい為替水準では52.9%が「1ドル85円以上95円未満」を選んだ。
(引用、以上)
 国際競争力を考えれば、特に台頭する新興国との競争を考えれば、
大企業も中小企業も、工場を海外移転した方が有利です。
 しかし、それでも、今まで海外移転が進まなかったのは、なぜか。
それは、海外では、人件費が安くても、電力供給に不安があったので、
海外移転には二の足を踏んでいたのです。

電力と産業 2011 7 2
 また、昔話をしましょう。
私の記憶が正しければ、今から数十年前の話です。
 「今から数十年前」というと、日本企業の黄金時代だったと思います。
外国からは、「日本企業は、世界最強である。
日本式の経営はすばらしい」と、
次々に、称賛されていた時代だったのです。
 ところが、その黄金時代でも、
日本企業の一部には、衰退している分野があったのです。
それは、アルミニウム業界です。
アルミニウムは、「電気の塊」と言われることがあります。
つまり、アルミニウムを作るには、大量の電力が必要です。
 日本は、外国に比べ電力料金が高く、
国内でアルミニウム精錬は経営的に困難で、
次々と生産拠点が海外に移ったのです。
(オイルショック後の電力料金の高騰が原因と言われます)
 もちろん、日本において、アルミニウム業界が「絶滅」したわけではありません。
唯一、一社だけ残っています。
日本国内において、原石(ボーキサイト)から製品まで一貫生産を行っているのは、
日本軽金属のみとなりました。
日本軽金属の場合は、自前の「水力発電所」を保有し、
「自家発電」をしているので、何とか国内生産を維持しています。
 産業にとって、電力は非常に重要です。
設備投資(工場)を考える上で、最も重視する要素です。
 最近、電力供給の不安がニュースになります。
「大企業どころか、中小企業までも海外移転し、
日本企業は、日本国内において、絶滅危惧種になる。
アルミニウム業界で起きたことは、日本企業の未来を予見するものだった」
 そんな事態が起きないように、政府及び地方自治体は、
電力供給の安定性に対して最大の支援をすべきです。

























































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